都市 V i l l e
突き刺すような、押しつぶすような、
強い太陽が光の粒子をまきちらしながら、
巨大な壁のように立ち並ぶ建築群の石壁を侵蝕しつつ、
この街を照らしだす。
この時、石とガラスの都市パリはチカチカと光の粒子をはじけさせ、
石の内部に貯えられた内なる光とともに輝きだす。
見上げた空は、突き抜けるような底なしの深い深い青。
そこには宇宙の漆黒につづく黒い青空があった。
それは、日本の湿気を含んだ柔らかく包み込むような光ではなく、
乾いた硬質な、矢のように僕の眼を射る光だった。
その時、はじめて光を掴みとれるようにすらおもえた。
光を物質のようなものとして、
感じたしきっかけだったかもしてない。
Keiichi Tahara